固定費置き換えの年間削減シミュレーション|通信・電気・保険で年いくら減るか

koteihi-simulation 家計・資産形成

この記事の結論

  1. 固定費の置き換えで減る金額は、項目によって桁が違います。スマホは2回線で年99,528円、保険は平均から2割削って年70,600円。一方で電気は年数千円で、契約アンペアが小さい世帯ではむしろ高くなります。
  2. モデルケースで4項目を足すと年約18万円。楽天市場で年24万円買い物をして還元率6.5%で得られる15,600円相当と比べて、約11.5倍の差になります。
  3. 固定費の削減は手続き1回で翌年以降も効き続けます。5年で約90万円。ポイント還元のように毎月買い物を続ける必要がありません。

この記事でわかること

  • 通信・光回線・電気・保険・住居それぞれの年間削減額(公式料金で試算)
  • 電気が「やっても数千円」で、場合によっては逆効果になる理由
  • 4項目を足した合計額と、ポイント還元との桁の比較
  • 効果と手間のバランスで決める、手をつける順番

この記事の前提

本サイトの立場は「ポイント還元は収入ではなく、支出の値引きである」というものです(詳しくは「倍率を実質値引き率に換算する」)。支出を減らす手段として見たとき、還元率の最適化と固定費の見直しは同じ土俵に乗ります。そして並べて比べると、効果の大きさがはっきり違います。

その結論は「経済圏より先にやるべき家計の3項目」で示しました。この記事では、その項目3(固定費の見直し)を金額に落とし込みます。

試算に使う金額は、すべて各社の公式ページに記載されているもの(税込)です。比較サイトの集計値は使っていません。前提条件は項目ごとに明記しています。ご自身の家計に当てはめるときは、お手元の明細の数字に置き換えて同じ計算をしてください。

まず現状を把握する:平均はいくらか

総務省統計局の家計調査によると、二人以上の世帯の2025年平均の支出は次のとおりです。

費目 月平均額 年換算
消費支出(合計) 314,001円 3,768,012円
住居 18,678円 224,136円
光熱・水道 24,547円 294,564円
 うち電気代 13,219円 158,628円
交通・通信 45,730円 548,760円
 うち通信 11,672円 140,064円

出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均」(2026年9月12日確認)

あわせて保険料は、生命保険文化センターの調査で1世帯あたり年間35.3万円(個人年金保険の保険料を含む)とされています(出典:生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」、2026年9月12日確認)。

ファイナンシャルプランナーの視点

家計調査の「住居」が月18,678円と低く見えるのは、持ち家の世帯(住宅ローンは消費支出に含まれません)を合わせた平均だからです。賃貸の方の実感とは大きくずれます。平均値は「自分が多いか少ないか」を測る物差しとして使うもので、目標値ではありません。

項目1:スマホ(効果が最も大きく、手間が最も小さい)

固定費の中で、金額の差がいちばんはっきり出るのがスマホです。NTTドコモのeximoと楽天モバイルの料金を、公式ページの金額で並べます。

データ使用量 eximo(割引前) eximo(全割引適用後) 楽天モバイル(家族割適用)
〜1GB 4,565円 2,178円 968円
1GB〜3GB 5,665円 3,278円 968円
3GB〜無制限 7,315円 4,928円 3,168円

出典:NTTドコモ eximo楽天モバイル Rakuten最強プラン最強家族割(いずれも2026年9月12日確認)

eximoの「全割引適用後」は、みんなドコモ割(3回線以上で−1,100円)、ドコモ光セット割/home 5Gセット割(−1,100円)、dカードお支払割(−187円)がすべてそろった場合です。2回線の世帯ではみんなドコモ割の割引額が小さくなるため、実際の金額は「割引前」と「全割引適用後」の間に入ります。楽天モバイルは最強家族割(−110円)適用後の金額で、家族割なしなら1,078円/2,178円/3,278円です。

年間でいくら減るか

ケース 月あたりの差 年間削減額
1回線・無制限(eximo割引前 → 楽天) 4,147円 49,764円
1回線・無制限(eximo全割引後 → 楽天) 1,760円 21,120円
1回線・3GB以下(eximo割引前 → 楽天) 4,697円 56,364円
2回線・無制限(eximo割引前 → 楽天) 8,294円 99,528円

2回線で無制限を使っている世帯なら年間約10万円。手続きは1回で、固定費見直しの中で最も効率の良い作業です。

ただし楽天モバイルは地下や建物内で電波が届きにくい場所があり、通信品質は住んでいる場所によって差が出ます。金額だけで決めず、ご自宅と職場周辺のエリアを公式の対応状況で確認してください。詳しくは「楽天モバイル」で解説しています。

ファイナンシャルプランナーの視点

この表で注目していただきたいのは、データをあまり使わない人のほうが削減額が大きくなることです。3GB以下の人は年56,364円、無制限の人は年49,764円。「たくさん使っていないから乗り換えても意味がない」と思われがちですが、実際は逆です。大手キャリアの小容量プランは割高に設定されているためです。

項目2:光回線

楽天ひかりの月額料金は、マンションプランが4,180円、ファミリープラン(戸建)が5,280円です(出典:楽天ひかり、2026年9月12日確認)。

現在の契約額によって差が変わるため、一律の削減額は出せません。月5,000円のマンション向け回線を使っている場合を例にします。

項目 金額 年換算
現在の回線(例) 5,000円/月 60,000円
楽天ひかり(マンション) 4,180円/月 50,160円
差額 820円/月 9,840円
最強おうちプログラム(楽天モバイル併用時) 1,000pt/月 12,000pt相当

楽天モバイルを使っている場合、楽天ひかりを初めて申し込むと「最強おうちプログラム」で毎月1,000ポイントが還元され、含めると年21,840円相当になります。ただしポイントで受け取る分は現金の支出が減っていません。楽天市場などで使って初めて値引きとして実現します。工事費の「実質0円」も同じ構造で、22,000円は24回払いで請求され、相当額(最大916円/月)がポイントで戻る仕組みです。24か月より前に解約すると残りは現金払いになります。

光回線は解約金と工事費の残債が判断を左右します。今の契約の更新月と工事費の分割の残りを先に確認してください。削減額が年1万円前後なのに、解約金で2万円払っては意味がありません。

項目3:電気(期待しすぎないでください)

ここが多くの記事と結論が分かれるところです。電気の切り替えで減る金額は年に数千円で、契約条件によってはむしろ高くなります。計算方法が違うため、実際に数字を入れて比べる必要があります。

項目 東京電力EP スタンダードS(関東) 楽天でんき プランS(東京エリア)
基本料金 10Aにつき311.75円(30Aで935.25円) なし(0円)
電力量料金(〜120kWh) 29.80円/kWh 36.85円/kWh(一律)
電力量料金(121〜300kWh) 36.40円/kWh
電力量料金(301kWh〜) 40.49円/kWh

出典:東京電力エナジーパートナー スタンダードS(関東)楽天でんき 電気料金メニュー表(2026年2月25日実施)(いずれも2026年9月12日確認)

楽天でんきは基本料金が0円で、電力量料金は一律。東京電力は基本料金があり、電力量料金は使うほど単価が上がる3段階です。この構造の違いから、使用量が多いほど楽天でんきが有利になります。

使用量別の比較(契約30A・東京エリア)

月間使用量 東京電力EP 楽天でんき 月の差 年間削減額
150kWh 5,603円 5,528円 76円 909円
250kWh 9,243円 9,213円 31円 369円
300kWh 11,063円 11,055円 8円 99円
400kWh 15,112円 14,740円 372円 4,467円
500kWh 19,161円 18,425円 736円 8,835円

※基本料金と電力量料金のみの比較です。燃料費調整額・市場価格調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は含めていません。

家計調査の平均である月13,219円は、おおむね月350kWh前後に相当します。つまり平均的な世帯での削減額は年1,000円から4,000円程度。スマホの年10万円とは桁が2つ違います。

契約アンペアが小さいと逆転します

楽天でんきの優位は「基本料金が0円」から来ています。基本料金がもともと小さい世帯では、一律36.85円の単価が重くなって逆転します。契約20A・月250kWhなら東京電力が8,932円、楽天でんきが9,213円で、楽天でんきのほうが月281円、年3,372円高くなります。

市場価格調整という変動要因

さらに楽天でんきには市場価格調整額があります。平均市場価格が7円未満なら差し引かれ、13円を超えると加算されます(基準となる平均市場価格の上限は30円00銭)。電力市場の相場によって請求額が動くため、「切り替えれば必ず安くなる」とは言えません。

ファイナンシャルプランナーの視点

電気の切り替えは、SPU+0.5倍という見出しの印象に比べて、金額的な効果が小さい作業です。本サイトの運営者も楽天でんきは使っていません(理由は「わたしが使っていない楽天サービスと、その理由」)。固定費の見直しとして取り組むなら、スマホと保険を先に終わらせてからで十分です。先にこちらに手をつけると、労力のかかった割に家計が変わらず、見直し自体が続かなくなります。

項目4:保険(効果は大きいが、削り方を間違えないこと)

生命保険料の世帯平均は年間35.3万円です。月に換算すると約29,400円で、スマホ2回線より大きい金額です。

仮に平均から1割下げれば年35,300円、2割なら年70,600円、3割なら年105,900円です。

ただし、この数字を目標にしてはいけません。保険は「平均から何割削るか」で決めるものではありません。順番は逆で、必要な保障額を先に出し、それに足りない分だけを保険で埋めます。その結果として保険料が決まります。

必要な保障額を考えるときの出発点は次の3つです。

  1. 公的保障でどこまでカバーされるか(遺族年金、健康保険の高額療養費制度、傷病手当金など)
  2. 手元の貯蓄でどこまで耐えられるか(生活防衛資金があれば、短期の入院は保険なしで乗り切れます)
  3. 残された家族に必要な金額はいくらか(生活費、教育費、住居費から、遺族年金と配偶者の収入を引いた差額)

この3つを確認すると、重複している保障や必要性が低くなった保障が見えてきます。削減額はその結果であって、目標にするものではありません。

また、保険料を下げる方法は解約だけではありません。保障額の減額、払済保険への変更、特約の解除など、契約を続けながら負担を下げる方法があります。まずは契約内容の確認から始めてください。

項目5:住居(効果は最大、ハードルも最大)

家賃を月1万円下げれば年12万円です。この記事で扱った4項目の中で最も大きい金額になります。

一方で、引っ越しには初期費用がかかります。敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・引越業者の費用を合わせると、30万円から50万円程度になることが一般的です。年12万円の削減で回収するには2年6か月から4年2か月かかります。

つまり住居費の見直しは、その家に4年以上住み続ける見込みがあるかどうかが判断の分かれ目です。転勤や家族構成の変化が近いうちにありそうな場合は、費用を回収できません。

引っ越し以外では、更新時の家賃交渉(周辺の相場が下がっていれば応じてもらえることがあります)や、持ち家なら住宅ローンの借り換えという選択肢があります。効果は小さいものの、費用がかからないぶん確実です。

4項目を足すといくらになるか

モデルケースを設定して合計します。前提は次のとおりです。

  • 二人世帯・賃貸・東京エリア
  • スマホはeximo無制限を2回線、割引なし
  • 光回線はマンション向けで月5,000円
  • 電気は契約30A、月300kWh
  • 保険料は世帯平均の年35.3万円で、見直しにより2割削減
  • 住居費は据え置き(引っ越さない)
項目 年間削減額 手間
スマホ2回線 99,528円
保険(2割見直し) 70,600円
光回線 9,840円
電気 99円
住居(据え置き) 0円
合計(現金ベース) 180,067円
+最強おうちプログラム 12,000pt相当

ポイント還元と並べてみる

ここで、還元率の最適化で得られる金額と並べます。楽天市場で年24万円(月2万円)買い物をして、実質値引き率6.5%を実現した場合の還元は15,600円相当です。

手段 年間効果 必要な行動
固定費の置き換え(4項目) 180,067円 手続きを1回ずつ
楽天経済圏で還元率6.5%(年24万円の買い物) 15,600円相当 毎月の買い物を集約し続ける
倍率 約11.5倍

この差が、本サイトが「経済圏より先にやるべき家計の3項目」で順番を強調している理由です。

固定費の削減には「毎年効く」という性質があります

金額の大きさ以上に重要なのが、効果の持続性です。固定費の置き換えは手続きを1回終えれば、翌年以降は何もしなくても効き続けます。3年で540,201円、5年で900,335円です。

一方の還元率は、毎月買い物を楽天に集約し、SPUの条件を維持し、上限を管理し続ける必要があります(上限の管理については「倍率より上限|取りこぼしを防ぐ考え方」)。それを5年続けて78,000円相当。労力あたりの効果で見ると、差はさらに開きます。

手をつける順番

ここまでの金額と手間を踏まえた優先順位です。

順番 項目 年間効果の目安 判断のポイント
1 スマホ 2万〜10万円 自宅・職場の電波状況を先に確認
2 保険 3万〜11万円 必要保障額から逆算。一律カットはしない
3 光回線 1万円前後 解約金と工事費の残債を先に確認
4 電気 0〜9千円 契約アンペアが小さいと逆に高くなる
5 住居 12万円〜 4年以上住む見込みがあるかどうか

住居が最後なのは、効果が小さいからではなく、判断に時間がかかり実行のハードルが高いためです。1から4を終えてから、落ち着いて検討すれば十分です。

なお、固定費の見直しを年に1回のペースで繰り返す必要はありません。契約の更新月が来たときと、家族構成や住む場所が変わったときに見直せば十分です。それ以外の時期に何度も比較サイトを見ても、出てくる結論は同じです。

やってはいけない順番

最後に、固定費の見直しが失敗するパターンです。いずれもSPUの倍率を目的にしたときに起こります。楽天モバイルのSPU+4倍は月間上限2,000pt、楽天でんきの+0.5倍は上限1,000pt。通信費や電気代が上がるなら、倍率ぶんでは埋まりません。「安くなるらしい」で乗り換えて、解約金や工事費の残債で初年度がマイナスになるのも同じ型です。

正しい順序は次のとおりです。

①固定費として料金を比べる → ②ほぼ互角か安いなら乗り換える → ③SPUは加点材料として数える

この順序であれば、倍率に引っ張られて割高な契約を選ぶことはありません。楽天でんき・楽天ひかりについては「楽天でんき/楽天ひかり」でさらに詳しく扱う予定です。

注意点

注意点・デメリット
  • 本記事の試算はすべてモデルケースです。実際の金額は世帯人数・使用量・エリア・契約内容によって変わります。必ずご自身の明細の数字に置き換えて計算してください。
  • 電気料金の比較は基本料金と電力量料金のみです。燃料費調整額、市場価格調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金は含めていません。実際の請求額はこれらを加えたものになります。
  • 楽天でんきには市場価格調整があります。電力市場の相場によって請求額が変動するため、切り替え後の金額を固定のものとして見込むことはできません。
  • 保険の見直しは、必要な保障まで削ってしまうリスクがあります。本記事の削減額の表は「平均との差」を示したもので、削減目標ではありません。解約・減額の前に保障内容と必要性をご確認ください。
  • 各社の料金・割引・条件は変更されます。本記事の金額は2026年9月12日に各出典で確認したものです。契約前に必ず公式ページの最新の金額をご確認ください。
  • 本記事は情報提供を目的としたものであり、個別の家計状況に対する助言ではありません。保険の見直しについては、必要に応じて専門家にご相談ください。

FAQ

Q1. 電気の切り替えは、やらないほうがいいということですか?
A. 使用量が多く契約アンペアが大きい世帯(月400kWh以上・40A以上など)なら、年4,000〜9,000円程度の効果があります。やる価値がないのではなく優先順位が低いということです。スマホと保険を終えてから検討してください。

Q2. 4項目すべてやらないと意味がありませんか?
A. いいえ。スマホだけでも年2万〜10万円です。上から1つずつで構いません。乗り換えにかかる時間の目安は、スマホが申し込みから開通まで数日〜2週間、光回線は工事があると2週間〜1か月程度です。

Q3. 削減できた分はどうすればいいですか?
A. 高金利の借入が残っていればその返済に、生活防衛資金が足りていなければ現金での積み立てに回してください。順番の考え方は「経済圏より先にやるべき家計の3項目」で解説しています。

Q4. 楽天のサービスに揃えないと削減できませんか?
A. いいえ。本記事で楽天のサービスを比較対象にしているのは、本サイトが楽天経済圏を扱っているためです。通信費を下げる手段はほかにもありますし、料金が安いほうを選ぶのが正しい判断です。SPUは互角だったときの加点材料として使ってください。なお、ご自身が固定費を見直すべき状態かどうかは「診断|あなたに楽天経済圏は向いている?」の5問で確認できます。

更新情報

監修:にゃんころ(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/編集:FPにゃんころの楽天経済圏やってみた 編集部
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